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Flowing

岡崎孝一 / 中西敏貴 / 坂田健一


​2025/2/8(SAT) ~ 2/23(SUN)

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PHOTO GALLERY FLOW NAGOYAでは、2025年2月8日から23日まで岡崎孝一 / 中西敏貴 / 坂田健一の3人展を開催いたします。

 

 人は古くから自然と共存しながら現代までの文化を形成してきました。一方で、現代ではデジタルな世界を無意識ながらに意識しながら生活を行っています。デジタルな世界が蔓延するがゆえに、空気の循環や、水分の摂取など一昔前と比較すると過敏になっているように思います。人間は、水が無いと生きていけないですが、現代のデジタル社会もまた今となっては人間にとって無くてはならない存在です。自然とデジタルな物資とを分け隔てるのではなく、一つの共通資本だと批評家の四方幸子は以下のように述べている。

そこでは人間も、近代的な個人を超えて、多様な微生物をもち、身体内外でアナログ、デジタルを含むさまざまな情報を入出力し続ける存在のひとつとしてある。その情報とはまさに「エコゾフィー」における自然、社会そして精神のエコロジーとして世界を循環し続けている「コモンズ」で、人間と非人間のための「共通資本」なのではないだろうか[i]。

 現代を生きる我々は、自然の物だけが共有の財産ではなく、デジタルデータもまた、水と同じように共有のものであり、地球の財産であるという考え方が必要なのではないだろうか。本展示「Flowing」は、水にまつわるそれぞれの作家が、自然と人の関係性を起点に、デジタルとアナログの境界を曖昧にしています。そういった意味で、2025年現在の我々はまだその境界線上にいます。今展示を鑑賞して、我々の未来がどのように形成されて行くべきかを、鑑賞者同士で理解を深めていってほしいと思います。

 

[i] 四方幸子 , エコゾフィック・アート 自然・精神・社会をつなぐアート論 , 株式会社フィルムアート社 , 2023年 , p294-295

Correction

Satoshi Nakazawa / gallery0369


​2025/3/8(SAT) ~ 3/23(SUN)

本展示は、三重県津市美里のgallery0369で開催されます。
https://gallery0369.jp/exhibition/2025spring_nakazawa_correction/

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展示「Correction」に向けてのテキスト / 中澤 賢
タイトル:「安定化によって表面化する抑圧による主体性の喪失」

 

1990年代後半からインターネットが一般化し、現在ではポストインターネット時代になっている。情報を得る行為やSNSで発信する行為は誰もが行い、仮想世界における行動が、現実を超えて評価される現象も、近年では目新しくなくなってきた。いわゆる、インターネット時代のイデオロギーが安定して運用されつつあるという事である。過去に、このようなイデオロギーが安定化を見せる傾向は、高度経済成長期にもあったと考えられる。

イデオロギーが安定するということは、誰もがイデオロギーを信じて疑わなくなるということである。皆が一様な行動原理に陥ることで、社会は全体主義としての同質化へ向かう。例えば、高度経済成長期では、残業時間も顧みずに働くサラリーマンが普通であったし、女性は女性らしく、男性は男性らしくしなければいけないという考え方も一般的で誰もが疑わなかった。これらは、全体主義としての同質化から生まれた考えだと言える。

インターネットが安定したイデオロギーとして確立し、AI時代へ突入しようとする現在、我々は高度経済成長期における同質化と同じ状況に追い込まれているように感じる。イデオロギーの構造を信じて疑わない思想が、同質化を招き、皆が一様に没個性的な生き方を招いている。これらの原因を抑圧にあるとして、理論家であるニコラ・ブリオーが以下のように語っている。

資本主義の体制によって個人に加えられる同質化という名の暴力、それがもたらす悲惨な結果を〈治癒する〉ためには、主体化の素材が現れなければならない。同質化とは、個人の主体性の基礎をなす相違を抑圧することなのだ[i]。

しかし、同質化を克服することは容易ではない。今まで自身が信じていた思想を覆す行為であるし、そもそも同質化してしまっている事に気が付いていない場合が多い。例えば、ブリオーが言う「個人の主体性の基礎をなす相違を抑圧すること」は、ハラスメント行為であるといえる。様々なハラスメント行為は、現在では誰もが気を付けているが、以前なら一般的であったものや、問題視されていなかったものもある。現在でも気が付かないだけで、現代のイデオロギーの中で、知らず知らずのうちに他者を抑圧し、個人の主体性を奪って生きているのではないだろうか。

本展示は、イデオロギーによる抑圧と、自己と他者の関係性による抑圧という構造を感じるに至り「Correction」の制作が開始された。本展示は、構造主義的な視点で現代を見渡し、全体主義としての同質化の構造を抽象化させている。ポスト構造主義的な展示を行うのではなく、敢えて構造主義的な展示を行っている。こうすることで、イデオロギーの構造に対する批評と、それらの構造に対して、何の思想もなく自ら没個性的な生活を望む我々に対する二重の批評性を含んでいる。

人間の本質的な豊かな生活とはいったいどのような生活なのだろうか。小さいころに自分が考えていた理想の大人と、現在の自分が重なり合っているのだろうか。これらの問いを克服したときに、はじめてインターネット時代を克服でき、本当の意味で、ポストインターネット時代を主体的で豊かな生活が送れるのではないだろうか。

最後に、本展示のお誘いいただき、様々なわがままを快くお許しいただけたgallery0369のオーナーの松原豊氏に感謝いたします。

PHOTO GALLERY FLOW NAGOYA

 

中澤 賢

[i] ニコラ・ブリオー , 関係性の美学 , 株式会社水声社 , 2024年 , p169

開催場所:〒514-2113 三重県津市美里町三郷369番地


連絡先:℡ 059-279-3703 メール info@misato0369.jp


駐車場:駐車場は Théâtre de Bellevilleの駐車場 (三重県津市美里町三郷2104)をご利用ください。

関連イベント:期間中は様々な関連イベントを計画しています。開催の予定は決まり次第こちらのwebページやSNSにてお知らせ致します。


下記の日程でイベント開催予定です
①2025年3月2日(日)作品搬入を見る、手伝う、話す、聞く
②3月15日(土)内容未定
③3月22日(土)内容未定

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