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片柳拓子" Boundary​ "

2022.6.4(SAT) ~ 6.19(SUN)

日常において、違和感が生まれる瞬間がある。
例えば、見慣れた風景の中に突如 と現れる行列。そこに、行列になるような場所があることに
気がつかないまま、 幾度となくその前を通り過ぎていた。
きっと誰かが見つけて「ここに、こんな場所がありますよ」と紹介したのだろう。
行列がある日々は続き、いつのまにか見慣れた風景となっていった。
そして、いつ しかその行列に驚きもしなくなった。
日常になったその風景を意識せず、変化を 感じる事もない。
実際は、列が長くなったり、短くなったり、列が無い時もあった かもしれない。
私の記憶に強く残るのは、突如としてできていた、あの行列だけが 残っている。
私は、その場所に立ち寄る事もなく、流れる風景の一部として、その列に並ぶ人々の
顔も服も性別も覚えていない。
ただ連なった長い線が街に引かれたこととして 印象に残っているのだ。
いつその列が生まれたのか、繋がり続けたその列の先には何があるのか知りたい気もした筈なのだが、結局、列の先頭を見る事なく、人々が作り出した列に繋がる 事もなく、列を眺めて通り過ぎた。

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